人事・労務担当者が教える法的知識と実践ガイド_【Vol.3】

もしもハラスメントが起きたら?相談から解決までの実践プロセス
皆様、こんにちは。 人事・労務担当のフクさんです。
まだまだ残暑厳しいですが、体調崩していませんかな?
秋に早く来てほしいですな。職場のハラスメントがなくなれば、社員の士気も高揚しますぞ。紅葉だけに…なんて、失礼しました。
木々の緑が日増しに深くなるこの季節。問題解決も、絡まった糸を一本一本丁寧にほぐしていくように、地道な作業が大切だと日々感じています。
第3回のテーマは「もしもハラスメントが起きてしまった場合の、相談から解決までの実践プロセス」です。
万が一の事態に、どう動くべきかを解説します。
勇気ある相談と、それを受け止める覚悟
ハラスメントの被害を打ち明けることは、被害者にとって非常に勇気がいる行動です。
- 「相談したら、かえって状況が悪化するのでは」
- 「自分の勘違いだったらどうしよう」
こうした大きな不安を乗り越えて発せられたSOSを、私たちは真摯に受け止めなければなりません。
特に会社の相談窓口や管理職には、その勇気に誠実に応える「覚悟」が求められます。初期対応の姿勢が、その後の解決プロセス全体を大きく左右することを、心に留めておく必要があります。
機能していますか?あなたの会社の相談窓口
法律で設置が義務付けられた「相談窓口」は、ハラスメント対策の心臓部です。
しかし、ただ設置されているだけでは意味がありません。「誰でも安心して相談できる」と従業員に信頼されて、初めてその機能を発揮します。
良い相談窓口の条件とは、
- ✅相談方法が複数用意されている(対面、メール、外部窓口など)
- ✅プライバシーの厳守が約束されている
- ✅相談者が不利益な扱いを受けないことが保証されている
- ✅窓口の存在と利用方法が全従業員に周知されている
ことです。
自社の窓口が、本当に機能する状態になっているか、一度確認してみてください。
解決へのロードマップ!対応の5ステップ
ハラスメントの相談を受けたら、会社は感情的にならず、定められた手順に沿って冷静かつ迅速に行動する必要があります。
標準的な対応プロセスは、以下の5ステップです。
- 1.相談受付
- ⇒まずは話を遮らずに丁寧に聴き、プライバシー保護を約束します。
- 2.事実調査
- ⇒相談者の同意を得て、当事者双方や第三者から公平に話を聞きます。
- 3.事実認定と措置検討
- ⇒調査結果に基づき、ハラスメントの有無を判断し、行為者への処分や被害者のケアを検討します。
- 4.措置の実施と説明
- ⇒決定した措置を実施し、関係者にその理由を説明します。
- 5.再発防止策の実施
- ⇒研修の強化など、同様の問題が二度と起きないための対策を講じます。
この流れを組織内で共有しておくことが重要です。
人事が語る、ハラスメント対応3つの核心
この一連のプロセスにおいて、私たちが最も重視している「核心」を3つお伝えします。
📌1.【中立・公正であること】
相談担当者は、どちらか一方に偏ることなく、常に中立的な立場でなければなりません。予断を排し、客観的な証拠に基づいて判断する姿勢が信頼の基礎となります。
📌2.【迅速・誠実であること】
対応が遅れるほど、当事者の精神的負担は増し、解決は困難になります。相談を受けたら迅速に調査を開始し、進捗を適宜報告するなど、誠実な対応が求められます。
📌3.【秘密厳守であること】
調査で知り得た個人情報は、絶対に漏らしてはなりません。関係者からのヒアリングも必要最小限に留め、秘密保持を徹底することが二次被害を防ぎます。
問題を乗り越え「雨降って地固まる」組織へ
ハラスメントの発生は、企業にとって非常に不幸な出来事です。
しかし、その問題から目をそらさず、真摯に向き合い、適切に対処することで、職場の課題が浮き彫りになり、より良い組織へと生まれ変わるきっかけにもなり得ます。
「雨降って地固まる」という言葉のように、問題を乗り越える経験が、組織をより強く、たくましくするのです。
次回は「予防こそ最善の策!風通しの良い職場文化の創り方」です。